みなさんは今、大学と市中病院のどちらで働いていますか?
初期研修の病院探しの時期から大学病院が良いか市中病院が良いかの議論は頻繁に起こります。
今回は大学病院と市中病院でどういった差があるのか見ていきましょう。
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大学病院と市中病院
大学病院はいわゆる医学部の付属病院のことで学生時代の実習先でもあります。
基本的にその地域での希少疾患の受け入れや最新の治療を取り入れていることが多く、研究をしたり最先端の医療を行なったりしています。
一方で市中病院は大学以外の比較的大きな病院のことを言います。
〇〇市民病院などのことです。
特に初期研修は給与面において圧倒的に市中病院の方が高く、最近では指導体制も充実している病院も多いため市中病院人気が続いています。
大学と市中病院、それぞれの特徴を見てきましょう。
大学病院の特徴3選
1:医師の人数が多く指導体制がしっかりしている
やはり何と言っても大学病院は医師の人数が多く、“大学”なだけあって指導体制も整っています。
「人が足りていなくて忙しい〜」といった声ももちろんあります。
とはいえ、市中病院に比べれば人数は多いです。
そのためオーベンクラスの医師も多く、後期研修医にとっては指導をしてもらえる絶好のチャンスです。
若手でいられるうちにたくさん指導を受けたい場合は大学病院が良いですね。
また、大学で働くということは医局に所属し、勤務するということが必要になります。
そのため医局に所属するメリットとも重複しますが資格取得にも強いです。
2:希少疾患や最新の治療が経験できる
市中病院はcommon diseaseが多いのに対し、やはり大学は希少疾患の症例を経験できます。
それぞれの大学の得意とする分野にもよりますが、滅多に見ないような心奇形や内分泌疾患などはなかなか市中病院で経験できません。
そういった専門性の高い疾患を診たい場合は大学病院が良いでしょう。
また、最新の治療法や医療機器を取り入れていることも特徴として挙げられます
たとえば治験薬の使用であったり、新薬が発売された場合などは大学がいち早く取り入れます。
大学→大学病院の分院→関連病院の順に使用することが多いです。
最新の治療を学びたい場合は大学が良いでしょう。
3:雑務が多い&激務
大学最大のデメリットはやはり雑務が多いことです。
市中病院であれば他のコメディカルにやってもらえるような入力作業や事務連絡も、大学病院では細かく医師がやらなければなりません。
「この指示が出ていない」、「この投薬が完了していない」などと言われたり、「点滴や採血も医師で行なってください」と言われることも多いです。
また学生や初期研修医もローテートするため、下の学年の指導を任されることもあり、自身の勉強時間が少なくなる可能性はあります。
他にもカンファレンスの回数が多かったり、全体回診の頻度が高かったりします。
そういった事務的な作業やdutyが多いため、総じて激務であることが多いです。
後輩の指導をしながらも勉強をし、雑務をこなすことも仕事であるといった前向きな心構えは必要でしょう。
市中病院の特徴3選
1:common diseaseを学べる
まず市中病院は圧倒的にcommon diseaseが多いです。
ある程度上の学年になるとcommon disesaseは軽視されがちですが、何と言っても最も患者層が多いのがcommon diseaseです。
そのため医師として働く以上、一生涯関わりがある疾患になります。
例えば「小児の先天性アミノ酸代謝異常は診察できますが、大人の市中肺炎は診れません」といった状態では日常診療に支障をきたします。
まずは普通の一般的な疾患が診れる上で、専門性の高い疾患へとステップアップしていくことが重要です。
普通のことが当たり前にできるようになるために市中病院での勤務は重要であると言えます。
2:指導体制のしっかりしている病院も多い
一般的に後期研修医を受け入れているような比較的規模の大きい市中病院であれば、大学に劣らず指導体制も盤石なことが多いです。
また後期研修医の人数が多くないので症例の取り合いにもなりにくく、手技や治療に主体的に携われます。
オーベンの助けやアドバイスはあれど、基本的には自分で判断し自分で治療を行っていきます。
わからないこと、疑問に思うことを主体性を持って勉強せざるを得ない環境といったほうが良いでしょうか。
一人前になるために十分鍛えられると言えます。
主治医として治療効果を感じたり、どんどん症例数をこなしてスキルアップしたい場合は市中病院が良いでしょう。
3:給料が高い
大学と市中で初期研修の時もそうであったように後期研修になっても大学病院の給与は安く、市中が高い傾向にあります。
働く病院の規模と地域にもよりますが、一般的に勤務医の平均給与は1,200〜1,400万円ほどと言われています。
それに対し、大学病院のみの年収は平均800万円以下が最多となっています。
もちろん外勤や副業のアルバイト収入なども含めれば多くなる見込みはありますが、やはり大学のみの給与で市中病院並みの手取りを目指すのは難しいでしょう。大学病院勤務では生活をしていくためにアルバイトが必須になります。。。
市中病院勤務でも常勤週4日+研究日1日(=実質の外勤日)が与えられていることもあるので、勤務医で高給を目指すにはこのやり方が一番良いかもしれませんね。
科にもよりますが、市中病院へ就職する際に研究日(バイトの日)をつけてもらえるように交渉することもできるよ!
まとめ
大学病院はやはり最新の治療や希少疾患を学べるという特色があります。そういった点においてスキルアップを目指すのであれば大学病院での勤務は魅力的です。
一方で、よくある疾患や症例(いわゆるcommon disease)は市中病院で学ぶことができます。”普通の医者として普通に勤務“するのであれば、十分満足のいく研修ができます。
最近は指導体制も充実しているため専門医の取得や、施設によってはその先の指導医の取得も目指すことができます。そういった市中病院を選べば大学並みの指導を受けたり、資格を取ったりすることができます。
ざっくりとした印象で大学病院でないとスキルアップできないかのように感じていましたが、市中病院でも規模や得意とする疾患分野を見極めて就職すれば十分スキルアップを目指せますね。
そのため、どちらかに固執するのではなく、各々の求める仕事内容に応じて大学が良いか市中が良い選択すると良いですね。