医師の進路選択で避けて通れないのは”医局”です。
医局に対してどのようなイメージを持っていますか?
- 守ってくれる?
- 仕事がもらえて安心?
- 人事には逆らえない?
いろんな考え方がありますね
前回は医局のメリットについて解説しました。

今回は医局のデメリットについて解説をしていきます。
[box01 title=”この記事でわかること”]
- 最近の医局の動向
- 医局に所属するデメリット7つ
- 医局が辛い時の対策3つ
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[chat face=”700173.jpg” name=”りん先生” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]メリットもデメリットも知っておこう![/chat]
最近の医局の動向
たくさん入局&たくさん退局
研修医を終えると進む専門科を決めて、医局に入局する医師が多いです。
厚生労働省の調査では初期研修終了後に入局を予定している医師は74.2%という結果になりました。
[chat face=”700173.jpg” name=”りん先生” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]最近は大学医局離れが進んでいるとはいえ7割以上が入局しているよ![/chat]
一方で43%の医師が退局したという結果が出ています。
“医師全体の7割以上が入局するものの、約半数は医局を辞める”ということです。
経験を積んだり、資格を取得した後は医局を辞める医師が多いということでしょう。
医局を辞めるにあたり、どういったデメリットを感じていたのでしょうか。
医局に所属するデメリット7つ
①医局人事による異動
医局に所属する医師が最も感じている不満は”人事による異動”です。
医局は関連病院へ医師の派遣を行っています。
そのため一定期間毎に関連病院を転々とする必要があります。
数年単位で職場が変わるのは大変なことですよね。
一般的に医局人事は逆らえません。
自身が望まない異動先であっても「○年度の4月からこの病院に行ってね」と言われたら“NO!”とは言えないのです。
突然の異動はとても大変ですし、その度に引越し代や労力もかかります。
子供がいる家庭は学校をどうするかも考えなくてはいけません。
引越しできないような家庭の事情があったり、マイホームを購入している場合はかなりのデメリットになります。
②勤務負担が大きい
大学病院で働いていると「なんかよくわかんないけど常に忙しい!」ということが多いです。
診療だけでなく研究や論文の執筆、研修医・学生の教育などの仕事が降ってきます。
大学という性質上、臨床だけやっていれば良いわけではないからです。
- 院内発表会の作成
- カンファレンスの準備
- 学生への講義
- 研修医への指導
- 飲み会や勧誘会のセッティング
- よくわからない講習会への参加
- 偉い人?の講演会
キリがないほど雑務が湧いてきます。
え?これ本当に必要なの?みたいな業務もよくあります。
不要な雑務で勤務負担が大きくなるのは辛いですね。
こういった雑務の多さが嫌になり辞める人も多いです。
③給与、待遇が悪い
大学病院で働く医師は決して高い給与とは言えません。
むしろ大学は薄給で有名ですよね。
月給10万円程度しかもらえないなんてこともザラにあります。
もちろんそれだけでは生活が苦しいので、医局からの外勤(アルバイト)で稼ぐわけです。
【大学病院勤務の生活】
- 大学で診療・研究をしながら
- もらえる給与は月10万円弱
- アルバイトを掛け持ち
- バイト代を合わせても市中病院に比べたら年収が低い
めちゃくちゃハードじゃないですか。
忙しい上に給与が低いのです。
給与関係なく経験を積みたい時期ならまだしも、家庭を持ったりライフステージが上がっていくときにこの状況は厳しいですね。
ガッツリ稼ぎたい、コスパ良く暮らしたい人には向かなさそうです。
④職場環境や人間関係に疲れる
医局内での人間関係に疲れたり、それに伴う職場環境の悪化に疲弊してしまう医師も多いです。
【医局内ヒエラルキー】
- 教授
- 准教授
- 講師、関連病院の医長
- その他医局員
このように順番が決まっています。
それに伴って出世争いが勃発したり、誰の派閥に付くべきか様子を伺ったりと気疲れしてしまうことがあります。
[chat face=”3496.jpg” name=”りん先生” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]想像している以上に大変だよ[/chat]
上司はこのような抗争に巻き込まれて円形脱毛症になっていました(;_;)
他の医師と距離感を保ったり、自身のストレス耐性を上げたりなど忍耐&根性が必要でしょう。
⑤担当の症例数が少ない
大学は希少疾患や最新の治療法を取り入れており、そういった症例を経験することができます。
ただ最近では、症例はあるものの自分が担当させてもらえない事態が発生しています。
例えば自分の外勤日に治療やオペが行われるようであれば当然主治医にはなれませんよね。
珍しい疾患は誰しも経験したいため自分に回ってこない可能性があります。
実際『この症例を経験したいです』と伝えておいたのに、蓋を開けてみたら別の医師が担当していたという例もありました。
担当した医師はもっと前から根回しをしていたようです…
一見珍しい症例を経験できそうに見えて、実際は難しいことがあるので注意が必要です。
⑥将来が不透明
若手のうちは考えないかもしれませんが、中堅以上では自分がどこまで出世できるかがある程度わかってしまいます。
例えば同世代の他の医師が教授になった場合、自分が教授になることは99.9%ないわけです。
次期教授は自分の下の世代になりますからね。
残酷ですが自分の出世街道はここで終わりです。
そうなった場合、医局に残っている意義がなくなります。
[chat face=”3495.jpg” name=”りん先生” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]居心地も悪いしね…[/chat]
他の病院に移るのか、開業するのか、どこかの院長のポストをもらうか…
医局外でのキャリアも考えることになるでしょう。
⑦医局内以外の情報がわからない
医局に所属をしていると医局内や関連病院の情報には異常に詳しくなるものの、他の情報にはかなり疎くなります。
例えば有名病院のポストが空いたことに気がつけなかったり、転職の機会を失ってしまったり…
キャリアチェンジをしたいときや、転職を考えたときに好条件の案件がなくなってしまいます。
一生医局内で生きていくと決めていても、何が起こるか誰にもわかりません。
医局内のことだけでなく、外のことにも目を向けておきたいですね。
医局にいることが辛い時の対策3つ
①仕事の優先順位を決める
医局にいることが辛くなってきた時には、大抵の場合思考が停止してしまっています。
忙しさや疲れで日々忙殺されているからです。
自分の目指しているライフスタイルや優先事項が考えられなくなります。
- このまま医局内でキャリアを積みたいのか
- 家族との時間を大事にしたいのか
- ゆとりのある働き方をしたいのか
自分にとって何が大切でどんなことが重要なのか、考える時間を取りましょう。
『それでもやっぱり医局にいたい!』と思うなら医局でキャリアを積むのが良いでしょう。
他の選択肢に目を向けたければ、転職を考えたり仕事をセーブしたりするのもありですね。
[chat face=”700166.jpg” name=”りん先生” align=”left” border=”gray” bg=”none” style=”maru”]自分を見つめ直すことで新たな進路へ進むきっかけになるよ[/chat]

②様々な選択肢があることを知る
一昔前までは医局の影響力が非常に強く、仕事をするのに医局との良好な関係性が不可欠でした。
ところが現在はいろんな働き方があり、医局の力に左右されにくくなりました。
転職サイトにもさまざまな案件があります。
- 常勤
- 定期非常勤
- 開業
- 美容クリニック
- 自由診療
医局内では回ってこないような仕事もたくさんあります。
自分にどんな選択肢があるのか、友人に相談したり、求人を検索したり、転職エージェントさんに聞いたり…いくらでも探すことができますよ。

③医局を辞めたい場合は…
医局にデメリットを感じ、辞めたい人もいるでしょう。
医局を辞めるのってとても勇気がいることですよね。
医師人生において大きな決断となります。
辞める場合は退局を意識しつつ、次の職場やライフプランを検討し始めましょう。
見切りをつけて退局することも大事ですが、辞めた後の人生もとても大事です。
不安は多いでしょうが着実にステップを踏みましょう。

医局のデメリットまとめ
みなさんどう感じたでしょうか。
[box05 title=”医局のデメリット7つ”]
- 医局人事による異動
- 勤務負担が大きい
- 給与、待遇が悪い
- 職場環境や人間関係に疲れる
- 担当症例が少ない
- 将来が不透明
- 医局内以外の情報がわからない
[/box05]
医局制度にはメリットもデメリットもあります。
医局は医師にとって大きな存在だからこそ、入局する場合も退局を考える場合も慎重な検討が必要です。
自分にとって納得いくまで考え、答えを探してみてはいかがでしょうか。