医局フリーの働き方

専門医の更新に僻地勤務1年が追加?実現したらどうする?

震え上がるようなニュースが飛び込んできました。

専門医の更新制度、医師不足地域での1年間勤務を要請へ
日本専門医機構 MEDIFAXweb

このニュースを聞いて恐れ慄いた人も多いのではないでしょうか。

専門医の更新に医師不足地域での勤務を追加する要請がなされたのです。

もし現実化されれば、「専門医を更新するためには過疎地や僻地での勤務を1年間してね!じゃないと専門医が更新できないよ!」ということです。

この記事を見て正直私もびっくりしました。

率直な感想は

  • うわ〜困ったな…
  • 専門医取得をしようと頑張ってるけど…
  • 更新どうしようかな…

このように思いました。

今回は”専門医更新に医師不足地域での勤務要件が追加されたらどうするか?”というテーマで解説していきます。

そもそも専門医とは?

医師は初期研修を終えた後、それぞれの専門科へ進み専門医の取得を目指します。

もちろん専門医が必要か不要かは人の価値観によって異なりますが、今のところ専門医取得を目指す道が主流です。

日本専門医機構によると専門医とは
「それぞれの診療領域において適切な教育を受け、十分な診療技能(専門的知識・診療経験と患者本位の診療態度)を修得し、患者から信頼される標準的な専門医療を提供できる医師」

なんだか小難しいことが書いてあって分かりづらいですね^^;

現実的には専門医の資格を持っているとバイト代が上がったり、転職で年収の交渉ができたりします。

専門医という資格を保有していると”その科で一人前なんだよ!”っていう証明になるからです。

だからバイト代が高かったり、年収アップに繋がったりするのです!

なので現状は”専門医の価値=バイト代や年収アップのためのツール”と考えて良いでしょう。

専門医の更新に必要な要件は?

専門医は取得したら終わりではなく、その後も資格を維持するために定期的な更新が必要になります。

例えば麻酔科専門医の場合

  • 週3日以上単一施設で麻酔科関連業務に継続して従事
  • 学会に参加
  • 各講習会に参加

などが更新に必要な要件です。

医師不足地域での1年間勤務”は今挙げた必要要件に追加されるかもしれないのです。

専門医は5年で更新を迎えるので、もし実行されると
「4年は自身の好きな土地で勤務+1年は医師不足地域での勤務」
という働き方が必要になります。

言い換えれば”1年医師不足地域で勤務しないと専門医が更新できずに失効してしまう”というわけです。

もしこの案が採用されたら恐ろしい事態になりそうですね。

医師不足地域での勤務が必要になったら?

ではもし本当に、更新に医師不足地域での勤務が義務化されたらどうなってしまうのでしょうか。

考えられる未来を3パターンに分けてみました。

①:制度に従って医師不足地域で勤務する

まず1つ目は専門医制度の更新要件に従って医師不足地域で勤務する場合です。

転勤が可能な医師や、地方医局員には多い事例かもしれませんね。

専門医の更新時期は
医学部を卒業→初期研修を終了→専門医を取得→更新!
ここの時期に当たります。

年齢は一番若くて35歳、多くは30代後半で更新時期を迎えるでしょう。

30代後半の時期は子育て真っ盛り期間であり、仕事も家庭もとにかく忙しい時期です。

そのため急に“僻地勤務に1年間従事しろ!”と言われてもなかなか難しいですよね。

現実的には

  • 単身赴任可能な医師
  • 家族ごと引越し可能な医師
  • もともと僻地医療に従事している地方の医師

こう言った場合は専門医の更新が可能でしょう。

夫婦ともに医師の場合はなかなか難しいかもしれません。

夫婦二人ともが同じ僻地へ引っ越し、そこで職を見つけるってなかなかハードル高いですからね…。

②:専門医更新を諦める

2つ目のパターンは専門医の更新を諦める場合です。

そもそも専門医は何に役立っているのか?と言えば、バイト代が高くなったり転職に有利だったりします。

例えば各科のバイトは資格なし○万円、専門医○万円、指導医○万円というように持っている資格ごとに給料が分かれています。

なので専門医を維持したい、という人が多いのです。

逆に言えばこれくらいでしか役に立ちません。

今後転職する予定がない人や、専門医資格が必要なバイトをしていない人は更新する必要がないのです。

  • ママ医やフリーランス医師で、数日バイトに行くだけで十分な場合
  • あくせく働いたり、稼がなくても良い医師
  • 専門医が失効しても今の病院に雇ってもらえそうな医師

こういった場合は無理に専門医を維持する必要はないでしょう。

りん先生
りん先生
専門医がなくても医師バイトの給料はまあまあ高いから十分な収入源になるしね!

別に専門医が失効したところで痛くも痒くもない場合は更新しない人が多いでしょう。

③:そもそも専門医を取得しない

3つ目は専門医を取得しない場合です。

専門医の取得には結構な労力がかかるので、「どうせ取得しても維持できないのであれば取得しなくていっか!」という考え方です。

潔いですね。

例えば最初から美容などの自由診療分野に進めば専門医も不要でしょうし、思い切って健診や寝当直のバイト医として生きていく場合も専門医の取得は不要でしょう。

内科外来も専門医なしで業務はできますし、眼科のコンタクトバイトも、皮膚科のカウンセリングバイトも専門医がなくてもできます。

専門医資格を持っている場合と比べれば単価は多少安いでしょうが、専門医を取得する手間と維持する労力を天秤に掛ければ資格なしでも良い!という人はいるでしょう。

むしろ専門医維持が難しくなれば、このように専門医を取得しない事例が増えるでしょうね。

今後は専門医不要論が増えるだろう

医師は保守的な人が多いため黙って専門医機構の方針に従い地方勤務をする人もまあまあな数いるとは思います。

ですが、現実にこの要件が追加されたら更新したくても難しい事例は増えるでしょう。

  • 子育て中でどうしても今の勤務地を離れられない
  • 親の介護がある
  • 夫の勤務先との兼ね合いで僻地に行きづらい

いくらでも考えられます。

さらに一昔前と比べて専門医を取得していなくてもできる仕事が増えています。

医師の求人サイト上にも専門医必須の場合はよっぽど専門的な業務が必要な場合のみで、外来も当直もほとんどは専門医資格不要です。

医師
医師
結局専門医ってなんなの?十分な診療技能の獲得とか最もらしいこと言ってるけど、結局は僻地医療に医師を縛り付けるための道具なの?

こう言った疑念も出てくるでしょう。

そういう若手が増えることが容易に予想されるため、今後は専門医不要論が増えると考えられます。

実現化するまでに対策をしておこう

今回議題に上がったような”医師不足地域での勤務”はまだ実現化されるか不透明です。

いつ頃になるのか、何年後の更新時期から発動するのか未定です。

ですがこう言った提案があった以上、実現化しないとは言い切れません。

それまでにある程度対策しておくのが良いでしょう。

  • 専門医資格だけに頼った稼ぎ方をしない
    自由診療分野にも挑戦してみる
  • 今の勤務先との関係性を良好にしておく
    万が一専門医資格がなくても雇い続けてもらえるようにする
  • 転職サイトに登録しておく
    今のうちにいろんな案件を見て専門医資格が不要な業務を把握しておく

僻地勤務が実現化するのはまだ先なことが予想されるので今のうちに対策をしておきましょう。

まとめ

もしも専門医の更新要件に医師不足地域での勤務が追加されたらどうするかという議題で解説してみました。

私自身は専門医取得を目指して勤務中ですし、取得後もできれば維持したいです。

ただし、この用件が追加されれば現実的には厳しいかなという気もしています。

子育てをしながら、旦那さんの勤務先も意識しつつ、僻地医療をこなす。結構難しいでしょう。

なので今のうちに稼げる分だけ稼ぎ、維持できなくなった場合は美容診療のバイトを増やすか麻酔バイトを増やすか…

色々と考えは過ります。

今すぐに制度が変わるとは考えにくいですし、ものすごい批判が出そうなので本当に現実化するかは不明確でしょう。

幸いにも時間の猶予があるので対策しておこうと思いました。

医師の偏在はだいぶ前から問題視されていますが、流石にこの用件を追加するのは乱暴ですね。

専門医機構にも非難轟々でしょう。

徐々に専門医資格に頼らないような働き方を模索する時期に来ているのかもしれませんね。

ABOUT ME
りん先生@麻酔科医
医局に属さない働き方をする20代女医。 常勤先1つ+非常勤2つを掛け持ちしつつ、スポットバイトも豊富に経験中。 医局を辞めたい若手医師のサポートを100件以上行ってきました! この経験があるからこそ伝えられる『医局や病院を辞めたいならすべきこと』、『バイトをする前に知っておくべきこと』を発信していきます!