医局フリーの働き方

365日待機の医師は飲酒禁止?【産科医飲酒から考える若手の進路】

待機(オンコール)の産婦人科医が飲酒をした状態で業務を行なったとニュースで取り上げられました。

みなさんはどう感じますか?

医師
医師
酔って仕事なんてありえない!

もちろんそうでしょう。

一方で、

医師
医師
365日オンコールの医者は引退までずっと飲酒できないってこと?

そう感じた医師もいたでしょう。

今回の記事は

  • オンコールの実態と
  • そこから考える若手の進路

紹介します。

前提:飲酒状態での勤務はありえない

今回の事件は某産科クリニックの院長がオンコールであるにもかかわらず、飲酒をして出産対応したことが問題となっています。

クリニックが『何人の医師でオンコールを回していたのか』、『一人当たりのオンコール頻度はどのくらいなのか』など詳細は明らかにしていません。

もしかしたら複数人で回していて週12回程度だったかもしれないし、24時間365日ずっと院長が対応していたのかもしれません。

前提が明らかになっていないのでなんとも言えませんが、常識的に考えて飲酒状態での勤務は非難されても仕方ないでしょう。

りん先生
りん先生
酔った医師に命を預けるのは怖いよね

では、365日待機の医師は飲酒禁止なのか

もちろん飲酒した状態で仕事をするのはありえない。

ありえないけど

24時間365日待機の医師の場合、引退するまでずーっと飲酒禁止なのでしょうか?

まず、医師の世界で24時間365日待機状態の人は珍しくありません。

医師の少ない地域や病院では、医師一人が病院にくる緊急症例を一手に引き受けることもあります。

そうなると365日いつ呼び出されてもおかしくない状態であり、引退するまで飲酒できないことになります。

りん先生
りん先生
これは厳しい問題だね

飲酒した場合は他の病院に転送すれば良い?

もし緊急症例で病院から呼び出しがあった時、医師が飲酒をしていたら患者を断れば良いのでしょうか?

他の病院に転送すれば良いのでしょうか?

正直、判断は難しいと思います。

病院から呼び出されるほどの症例の場合、緊急性が高いことが多いし、一刻を争うので転送中に急変なんてことも考えられます。

特に産科はいつ産まれてくるか誰にもわからない上、少しの判断の遅れが致命的になることもあります。

今回の飲酒診療の件も、赤ちゃんは出生後肺の状態が良くなかったとあるので、もし転送していたらさらに状態が悪化していたかもしれませんね。

りん先生
りん先生
転送も難しい判断なんだよね

オンコール医師をバイトで雇えば良い?

ではオンコールに対応してもらえる医師をバイトで雇うのはどうでしょうか?

これも難しいでしょう。

医師のバイト代は高く、依頼するのも相当なお金がかかるからです。

特に産科領域のオンコール代は他の医師バイトより高額なので、全ての産科クリニックがバイトを雇うのは不可能でしょう。

むしろオンコールを雇って赤字になるくらいだったら、お産診療を辞めるクリニックが出てくるでしょうね。

待機(オンコール)じゃなくても呼ばれる時がある

医師はオンコールでない日に呼ばれる可能性もあります。

たとえば外科系の緊急手術の場合。

手術は一人ではできません。

なので他の医師にも病院に来てもらって、手術をする必要があります。

そうなるとオンコールでなくとも呼び出されることになるし、オンコールでない日も飲酒できなくなってしまいます。

もう飲酒できる日がほぼないですね。

りん先生
りん先生
なかなか解決が難しいね

現状が改善されるのはだいぶ先

いずれにせよ、医師は結構な確率で呼び出しがあるし、気を抜けない日が多いです。

改善するには医師の人数を増やして複数人でオンコールを回せるようにしたり、ある程度マンパワーのある病院に患者を集約する必要があります。

どちらも今すぐ改善できることではないし、現状を変えるのに相当な時間がかかるでしょう。

今後の若手医師の進路は?

QOLが高い科やマイナー科人気が続く

もうすでにQOLの高い科やマイナー科の人気は高いですが、今後もこの傾向は続くでしょう。

  • 激務
  • いつ呼び出されるかもわからない
  • 飲酒はダメ
  • 少しでも飲んだとがわかると袋叩きに合う

この状況を見て、若手医師が『ハードな科に進みたい!』とは思いにくいでしょう。

もちろん志高くハードな科に進む人は立派だし、応援したいと思いますが、全体の総意としてマイナー科人気は続くでしょうね。

りん先生
りん先生
劇的な労働環境の改善がない限り、この傾向は続きそうだね

QOLを追求するのは悪いことではない

若手医師がQOLを追求するのは悪いことではないと思います。

医師だって当然プライベートは大事にする権利があるし、仕事だけが人生ではないからです。

むしろ自分の時間を大切にすることって、自分自身を大事にすることにつながるので賢明な判断だと思います。

以前のように『医師ならば身を粉にして働くべき』という時代は終わり

『医師も人間なのだから、プライベートな時間や生活も大事にしたい』

と思うのが主流でしょう。

りん先生
りん先生
医師もQOLを考えて良い時代なんだね

QOLを大事にするのは悪くないし、そういった職場を探すのはむしろ賢い判断かもしれません。

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医師の待遇改善を求めたい

若手がどんどんQOLの高い科に進み、ハードな診療を引き受ける医師が少なくなると、いずれ診療が立ち行かなくなるでしょう。

そうなる前に医師の働き方には改善が必要であると感じます。

特にオンコールに関しては待機料が出ない病院も多いです。

  • 酒は飲むな
  • 呼ばれたら30分以内に来い
  • でも待機料はなし

りん先生
りん先生
この状態はあまりにひどい

現実では、蔓延しているのが実態です。

今回の飲酒問題を機に医師の働き方が改善すると良いな、と思います。

産科医飲酒から考える若手の進路まとめ

オンコール中に飲酒をして産科診療をおこなった事例を考察しました。

もちろん不明確な部分も多いので、誰が悪いとかどうすべきとか、一概には言えません。

ただ、今の日本の医療は医師の激務の上に成り立っており、改善すべき点であると言えます。

それでも、改善されるのはだいぶ先だろうし、だからこそ若手がQOLを求めるのも自然な流れでしょう。

『制度が変わるのを待つより、自分でQOLの高い働き方を模索した方が確実』

私もこう思う派です。

もちろん一生懸命働いている先生の仕事は報われてほしいし、医師の待遇も改善されると良いなと思います。

難しい問題ですが、今回の事例をきっかけに医療業界全体が良い方向へ変わることを願います。

読んでいただきありがとうございました。

ABOUT ME
りん先生@麻酔科医
医局に属さない働き方をする20代女医。 常勤先1つ+非常勤2つを掛け持ちしつつ、スポットバイトも豊富に経験中。 医局を辞めたい若手医師のサポートを100件以上行ってきました! この経験があるからこそ伝えられる『医局や病院を辞めたいならすべきこと』、『バイトをする前に知っておくべきこと』を発信していきます!